革新的衛星技術実証4号機HELIOS-R干渉計ミッションにおける柔軟膜構造体に搭載可能な電波干渉計の世界初実証

2026年3月31日
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
宇宙探査イノベーションハブ

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(理事長:山川 宏 以下、JAXA)宇宙探査イノベーションハブ(以下、探査ハブ)は、発電・アンテナ機能を有する軽量膜展開構造物「HELIOS-R」(以下、HELIOS-R)搭載の膜上搭載電波干渉計「HELIOS-R干渉計」の試験運用を実施し、 世界初(※1)の柔軟膜構造体における電波干渉計の運用実証に成功しました。

 HELIOS-RはJAXA探査ハブ、JAXA宇宙科学研究所、サカセ・アドテック株式会社、東京科学大学、防衛大学校が共同で開発し(※2)、革新的衛星技術実証4号機の小型実証衛星4号機(RAISE-4)(※3)に搭載され、2025年12月14日にニュージーランドから打ち上げられました。その後2026年2月13日に膜構造体の展開が確認され、同年3月6日にHELIOS-R干渉計の試験電波照射による総合試験を実施し、膜上アンテナによる電波干渉観測を含む正常な動作が確認されました。展開後のHELIOS-Rを写真に示しています。 (「HELIOS-R干渉計」は、写真下中央右パネル。)

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 今後の実証試験では、柔軟な膜構造体の微小な変形による膜上アンテナの傾き変化を干渉観測により持続的に観測すると同時に、宇宙環境における長期運用による性能劣化 (特に熱サイクルや放射線環境)を定量評価する予定です。

 以上の小規模実証で、軽量でありながら大面積の構造体を展開する事が可能な膜構造体全体をアンテナ化する技術を実証する事が出来ました。将来の使用用途としては、小型衛星に搭載可能な数m級アンテナによる高分解能リモートセンシング(地球観測と外惑星探査)大容量MIMO通信、 深宇宙における探査機間の相対航法センサ等への活用が期待できます。

 探査ハブでは、本研究成果をRFP10「宇宙・地上両用途の高効率・長距離無線電力伝送用ミリ波デバイス及び全体システムの開発」、RFP12「24GHz高効率大電力伝送システムに適用するスイッチングコンバータ及び高効率受信アンテナアレイと受電電力最大合成の研究」(※4)等の共同研究へ応用し、 軽量・大電力・高効率無線送電システムを含める将来の月面インフラ構築に貢献してまいります。

 

(※1)2026年3月31日時点。
(※2)本研究は、JAXAが国立研究開発法人科学技術振興機構から受託した「イノベーションハブ構築支援事業」 (太陽系フロンティア開拓による人類生存圏・活動領域拡大に向けたオープンイノベーションハブ)において実施された共同研究「次世代情報通信用高機能探査レーダの研究」 の地上実証である「はやぶさ2カプセル回収ミッション」の成功を受け、干渉計の開発に着手しました。 これをJAXA宇宙科学研究所やサカセ・アドテックが開発している多機能軽量膜構造に搭載する事としました。その多機能膜の実証機会として「革新的衛星技術実証3号機に搭載する実証テーマ」 に応募し、採択されました。本採択に伴い、2021年に宇宙探査イノベーションハブ、JAXA宇宙科学研究所、サカセ・アドテック株式会社、東京工業大学が共同研究契約を締結。 その後2024年に防衛大学校が加わり共同で開発を行ってきました。
(※3)革新的衛星技術実証4号機
「革新的衛星技術実証4号機」が拓く未来の技術-発電・アンテナ機能を有する軽量膜展開構造物 HELIOS-R
(※4)24GHz高効率大電力伝送システムに適用するスイッチングコンバータ及び高効率受信アンテナアレイと受電電力最大合成の研究