宇宙と地上をつなぐ全固体電池技術
研究成果が事業になるまで 全固体電池AS-LiB®技術の10年
2026年7月、カナデビア株式会社(旧 日立造船株式会社)の全固体リチウムイオン電池(全固体電池とも記載)事業がスズキ株式会社へ譲渡されました。現在、全固体リチウムイオン電池「AS-LiB®(All-Solid-state Lithium-ion Battery)」は、新たな事業体制のもとで継続されています。
AS-LiB®は日立造船(現 カナデビア)が開発し、宇宙機器への適用に関してJAXA宇宙探査イノベーションハブとの共同研究を通じて開発・実証を進めてきた全固体リチウムイオン電池です。固体電解質を用いることで、高い安全性に加え、-40℃から120℃という広い温度範囲での動作や、真空環境への優れた耐性を実現しています。こうした特長は、過酷な宇宙環境での利用だけでなく、産業機器や医療機器など地上分野への応用も期待されています。
宇宙探査のための共同研究からスタート
JAXAと日立造船は、宇宙探査イノベーションハブの研究提案公募制度の枠組みのもと、2016年から全固体リチウムイオン電池の共同研究を開始しました。
宇宙探査では、過酷な環境下でも安全かつ高性能に動作する蓄電池の実現が重要な課題です。全固体リチウムイオン電池は、従来の液系電池と比較して高い安全性や耐環境性が期待されており、将来の宇宙探査ミッションを支える重要技術の一つとして研究開発が進められました。
探査ハブは企業と連携しながら、宇宙で必要となる技術の創出とその実用化を目指しており、AS-LiB®もその代表的な共同研究テーマの一つとして発展していきました。
Space AS-LiB構成(左)とAS-LiB®140mAhセル
※写真はスズキが開発するAS-LiB®のイメージ。宇宙実証には、宇宙環境での使用に向けて開発されたAS-LiB®を搭載した実証装置を使用。
世界初となる全固体電池の宇宙実証
共同研究は地上試験にとどまらず、宇宙での実証段階へ進みます。2021年には宇宙実証に向けた共同研究契約を締結し、2022年には軌道上実証装置「Space AS-LiB」を国際宇宙ステーション(ISS)へ打ち上げました。
そして2022年3月、ISS「きぼう」日本実験棟の船外実験プラットフォームにおいて、世界で初めて全固体リチウムイオン電池の充放電機能を宇宙環境で確認しました。これは、全固体電池の宇宙利用に向けた大きなマイルストーンとなる成果でした。
さらに、その後も1年以上にわたって運用が継続され、高真空や放射線など宇宙空間特有の環境下における長期データの取得が行われました。その結果、全固体電池の本格的な宇宙適用に向けた有効性を示す知見が得られております。宇宙探査イノベーションハブと企業による共同研究が、世界初の宇宙実証という成果へ結実した瞬間でした。
全固体リチウムイオン電池軌道上実証装置(Space AS-LiB)
共同研究成果が事業へ
2016年に始まった共同研究は、ISSにおける世界初の全固体リチウムイオン電池の宇宙実証を経て、2026年には事業承継という新たな段階へ進みました。
異分野企業とJAXAが連携し、宇宙探査に必要な技術の創出と実証に取り組むことで育んだ技術が、宇宙利用にとどまらず社会実装へと展開していくAS-LiB®の歩みは、その可能性を示す事例の一つといえます。
AS-LiB®の取り組みは、異分野企業とJAXAの共創によって育んだ技術が、宇宙と地上の双方で価値を生み出し得ることを示す一例となりました。
関連リンク
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AS-LiB®は日立造船(現 カナデビア)が開発し、宇宙機器への適用に関してJAXA宇宙探査イノベーションハブとの共同研究を通じて開発・実証を進めてきた全固体リチウムイオン電池です。固体電解質を用いることで、高い安全性に加え、-40℃から120℃という広い温度範囲での動作や、真空環境への優れた耐性を実現しています。こうした特長は、過酷な宇宙環境での利用だけでなく、産業機器や医療機器など地上分野への応用も期待されています。
宇宙探査のための共同研究からスタート
JAXAと日立造船は、宇宙探査イノベーションハブの研究提案公募制度の枠組みのもと、2016年から全固体リチウムイオン電池の共同研究を開始しました。
宇宙探査では、過酷な環境下でも安全かつ高性能に動作する蓄電池の実現が重要な課題です。全固体リチウムイオン電池は、従来の液系電池と比較して高い安全性や耐環境性が期待されており、将来の宇宙探査ミッションを支える重要技術の一つとして研究開発が進められました。
探査ハブは企業と連携しながら、宇宙で必要となる技術の創出とその実用化を目指しており、AS-LiB®もその代表的な共同研究テーマの一つとして発展していきました。
※写真はスズキが開発するAS-LiB®のイメージ。宇宙実証には、宇宙環境での使用に向けて開発されたAS-LiB®を搭載した実証装置を使用。
世界初となる全固体電池の宇宙実証
共同研究は地上試験にとどまらず、宇宙での実証段階へ進みます。2021年には宇宙実証に向けた共同研究契約を締結し、2022年には軌道上実証装置「Space AS-LiB」を国際宇宙ステーション(ISS)へ打ち上げました。
そして2022年3月、ISS「きぼう」日本実験棟の船外実験プラットフォームにおいて、世界で初めて全固体リチウムイオン電池の充放電機能を宇宙環境で確認しました。これは、全固体電池の宇宙利用に向けた大きなマイルストーンとなる成果でした。
さらに、その後も1年以上にわたって運用が継続され、高真空や放射線など宇宙空間特有の環境下における長期データの取得が行われました。その結果、全固体電池の本格的な宇宙適用に向けた有効性を示す知見が得られております。宇宙探査イノベーションハブと企業による共同研究が、世界初の宇宙実証という成果へ結実した瞬間でした。
共同研究成果が事業へ
2016年に始まった共同研究は、ISSにおける世界初の全固体リチウムイオン電池の宇宙実証を経て、2026年には事業承継という新たな段階へ進みました。
異分野企業とJAXAが連携し、宇宙探査に必要な技術の創出と実証に取り組むことで育んだ技術が、宇宙利用にとどまらず社会実装へと展開していくAS-LiB®の歩みは、その可能性を示す事例の一つといえます。
AS-LiB®の取り組みは、異分野企業とJAXAの共創によって育んだ技術が、宇宙と地上の双方で価値を生み出し得ることを示す一例となりました。
