次世代コンセプト検討活動 ハビテーション領域
2025年2月25日
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
宇宙探査イノベーションハブ
宇宙探査イノベーションハブでは月・火星探査に必要となる新しい探査技術やサービス等、将来の国際宇宙探査へ貢献するシナリオを検討するMoon to Mars Innovationにおいて、 JAXA内外の有識者とともにチームを立ち上げ、「次世代コンセプト検討活動」の取組みを開始しました。
次世代探査コンセプトは従来検討が進んでいなかった、新たな将来探査システム及びそれらがもたらすサービスについて次世代探査コンセプト領域ごと (次世代エネルギー、次世代モビリティ、アセンブリ・マニュファクチャリング、ハビテーション)に、JAXAが編成する産学官のチームにより検討を実施する新しい取り組みです。
そのうちの「ハビテーション領域」について、以下の内容にて活動をしてまいります。
目的
•有人月面基地での長期滞在や将来的な月・火星での宇宙居住(ハビテーション)の実現に向け、月・火星特有の環境対策や宇宙の暮らしを豊かにするための、QOL(Quality of life)の向上を目指します。
•ISSにおける実証や月面の環境把握等を通じ、人類の活動領域の拡大と、地球の未来の暮らしにも貢献できる課題として、環境モニタリング、ヘルスケアサイエンス、食料生産、資源・物質循環、居住空間構築を中心に、「宇宙で暮らす」ための総合的な衣食住サービスを目指します。
活動指針
•将来の月・火星の探査像に対し、それを構成するシステムの段階的実現方法、その技術課題の識別、必要となる研究開発のシナリオメイキングを行います。
•国際宇宙探査シナリオ、スターダストプログラムにおける月面インフラ開発の検討ほか政府はじめ国内の検討状況や海外動向等を参照しながら実施します。
•システムの拡張性(Scalability)、他国の月探査システムとも協調して運用するための相互互換性(Interoperability)、共通性(Commonality)、火星への発展(Evolvability)といった観点を重視します。
•識別された技術課題やシステムを宇宙探査イノベーションハブRFIやRFPで募集することを検討します。
ハビテーション領域の5分野について
ハビテーション領域を5分野に分け、相互に連携しながら好循環サイクルを回すことでより高機能化していくことを目指します。

https://www.ihub-tansa.jaxa.jp/rfi/file/Habitation.pdf
1.環境モニタリング
放射線計測・宇宙天気、レゴリス粉塵、微生物サンプリング、環境(温湿度、騒音、臭気等)、AI等での予測・アラートシステム
2.ヘルスケアサイエンス(健康を総合的に扱い、QOL向上を目指す複合研究)
身体的および精神的な健康、公衆衛生技術、ヘルスステータスモニタリング機器の開発・整備、情報処理技術
3.食料生産
自動栽培・監視・センシングシステム、資源・物質循環システムとの連携、生産システム(収量・貯蔵・加工技術向上)
4.資源・物質循環
廃棄物・バイオマス循環、ECLSS
5.居住空間構築
空間環境制御技術(除菌・消臭の資材・技術開発)、空間設計技術、人間工学に基づく快適滞在、モデルルーム構築と快適設計のための実験・技術開発
活動開始
2024年9月
役割・構成員
- ハビテーション領域次世代コンセプト検討活動チーム長
JAXA宇宙探査イノベーションハブ
永松 愛子 参事 - 座長
東京理科大学 スペースシステム創造研究センター・
創域理工学部電気電子情報工学科
(JAXA宇宙探査イノベーションハブ客員)
木村 真一 センター長/教授
コアメンバー:
1.環境モニタリング
参加機関・大学・・・
- JAXA宇宙探査イノベーションハブ 永松愛子リーダ
- 東京理科大学 創域理工学部 幸村孝由 教授
2.ヘルスケアサイエンス
参加機関・大学・・・
- JAXA宇宙探査イノベーションハブ 永松愛子リーダ
- 東京理科大学 教養教育研究院 柳田信也 教授
- 東京慈恵会医科大学
- および関連企業
3.食料生産
参加機関・大学・・・
- JAXA宇宙探査イノベーションハブ 大熊隼人リーダ
- 京都大学
- 千葉大学
- 農業・食品産業技術総合研究機構
- および関連企業
4.資源・物質循環
参加機関・大学・・・
- JAXA研究開発部門 第二研究ユニット 桜井誠人 リーダ
- JAXA研究開発部門 第二研究ユニット 島明日香 サブリーダ
- 東京理科大学 創域理工学部 酒井秀樹 教授
- 国際医療福祉大学
- 早稲田大学
- および関連企業
5.居住空間構築
参加機関・大学・・・
- 東京理科大学 創域理工学部 木村真一 リーダ
- JAXA宇宙探査イノベーションハブ 坂井 篤 プランナ
- および関連企業
今後の予定
ハビテーション領域に関連する5つの重点分野(環境モニタリング、ヘルスケアサイエンス、食料生産、資源・物質循環、居住空間構築)のシナリオ検討のために、領域全体および分野ごとの勉強会・WS等の開催し、宇宙探査イノベーションハブが実施する情報提供要請(RFI)および研究提案募集(RFP)に反映させます。また、国際宇宙探査シナリオ等のハビテーション領域の設定および提言書案を作成し、日本の強みが生かせる宇宙探査の方向性を検討します。