宇宙探査イノベーションハブ ハブ長交代のお知らせ

新任挨拶

2024年7月1日に宇宙探査イノベーションハブ(探査ハブ)のハブ長に就任しました森治です。

宇宙探査、特に月探査を取り巻く状況が大きく変化しようとしている中、船木前ハブ長からのバトンを受け取らせていただきました。 探査ハブのこれまでの活動実績をベースにして、状況の変化に対応した新しい活動を皆様と一緒に進めていきたいと考えています。よろしくお願いいたします。

探査ハブは2015年度に発足後、Dual Utilizationというコンセプトをかかげ、これまで探査に関わってこなかった企業・研究機関・大学等と共同研究をして、宇宙探査のためのキー技術を創出し、宇宙探査力と産業競争力を同時に向上させる活動を進めてきました。 LEV-2(愛称SORA-Q)はまさにこのコンセプトによって生み出されたと言えるかと思います。

一方で、最近、アルテミス計画を始めとした国際宇宙探査の取り組みが進展していることや、民間企業による宇宙活動が急激に活発化しこれを後押しする宇宙戦略基金(JAXA基金)もスタートするなど、 探査ハブを取り巻く環境が大きく変化しています。そこで、探査ハブにおいてもDual Utilizationのコンセプトをさらに発展させたSpace Dual Utilizationを新たな目標として設定しました。これは、JAXAとの共同研究を軸にして、 JAXAの「宇宙」探査ミッション化と企業等の「宇宙」事業化の双方を目指すものであり、このための研究制度が「Moon to Mars Innovation」ということになります。

宇宙探査ミッション化、宇宙事業化の双方において、「宇宙実績」というのは大きな意味を持つため、個人的には、これまで以上に将来の「宇宙実証」を視野に入れた研究を行うのがよいと考えていますが、これはあくまで一案です。皆様との対話によって将来を展望しながら、その実現に向けてワクワクするような研究を行っていくことが大きな変化に対応する一番の有効策だと考えています。 これから皆様と一緒に新しい探査ハブ活動を進めていくことを楽しみにしています。どうぞよろしくお願いいたします。

森治 宇宙探査イノベーションハブ長




退任挨拶

宇宙探査イノベーションハブの、船木です。この度、6月末をもちまして、探査ハブ長を退任することになりましたので、ご報告させていただきます。

昨年2023年は、世界的な月探査活動が活発化した年でした。官民の数多くの探査機が月に挑戦して降り立ち、およそ50年ぶりの有人月探査となるアルテミス計画が進展する中、 早くも「月の経済圏」が語られるようになりました。その一方で、月で持続的な活動が実現するまでには、乗り越えなければならない壁、技術的な課題が数多く残っています。 宇宙探査イノベーションハブ(探査ハブ)は、将来月探査を指向した研究開発を2015年からスタートし、産官学が集うオープンイノベーション方式にて、地上の優れた技術を宇宙へ導入してまいりました。 探査ハブのオープンイノベーション成果が月探査へ適用されたのは2024年1月に我が国初の月着陸機となったSLIMの撮影に成功した超小型の変形型月面ロボット(LEV-2, 愛称SORA-Q)が初めてということになります。 研究開発にご協力いただいた、非常に多くの企業等の皆様に、改めてお礼を申し上げます。

JAXAの月探査は、今後、月南極域探査、SLIM後継探査、そして月面与圧ローバーへと進展していきますが、SORA-Qに続き、数多くの新基軸を月へ、そして火星へと送り出したい、というのが、我々の願いです。国際的に広がる月探査、そして持続的な月活動を支えるための新しい研究制度として2024年度からスタートしたのが「Moon to Mars Innovation(月から火星へのイノベーション)研究制度、MMI」です。MMIでは、探査ハブのオープンイノベーション研究制度を全面的にリニューアルし、産官学がパートナーと共に次世代の探査コンセプトを共創し、月探査の新基軸をスピード感を持って月に送り出すことを目指しています。民間の皆様が無理なく、 そして強い興味を抱いて参加できる研究環境を、新しい探査ハブ長以下スタッフ全員で用意してお待ちしていますので、引き続き、皆様の積極的な参加をよろしくお願いいたします。

船木一幸 前宇宙探査イノベーションハブ長